青森滞在記①-3:美少女と煮干しラーメン。

青森滞在記①-3:美少女と煮干しラーメン。

とにかく会場が広かった。
いかんせん方向音痴なわたしである。迷子になるーと思いながら、その迷子になりそうな感じを楽しんだ。

会場に入るとすぐに、古い双六やらポスターやらが展示されていた。双六がなんとも私のツボである。
少女が進学するまでや少女の遊びを双六化したものである。明治末期から昭和初期にかけての少女雑誌の付録みたい。
マスに書いてある文句から当時の風俗をうかがい知ることができます。たとえば「朝鮮の遊び」とか「女中奉公」とか。

そこを抜けると、展示会場入り口に設置されていたタカノ綾さんのバルーン作品を俯瞰することができます。
この角度がまた素敵!!わたしも乗せて、精霊船!という気分に。

展示会場は主に16の章立てで構成されています。図録の構成とほぼ同じ。
「アイドル&ヒロイン」「楽しんじゃおう!」「観用少女と、見つめ返す少女」などなど。

わたしがまず衝撃だったのは「楽しんじゃおう!」の章。美少女絵画の発端が遊び戯れる人々の群像であったというところから、
暮らしを楽しく謳歌する少女たちを集めたセクション。江戸に、昭和に、平成に、フィギュアまで!時代もジャンルも越えた少女たち、
楽しそうにしている少女たちが一堂に展示してありました。このような展示方法だと、いつの時代もかわらない少女の顔と、時代によって変わりゆく
少女の顔の2つを同時に感じることができます。
あぁ、この女子会の雰囲気、この子たちが集まってわいわいしてるこの感じ、いつの時代も変わらないのかもねと思う反面、展示会場の真っ正面に展示されていたMr.(ミスター)の作品からは、ぱんぱかぱーん!!というどの時代の絵にもあてはまらないハッピーすぎる雰囲気の女の子が。
江戸〜昭和時代の少女はどこかお上品に描かれていて、女子だけでやいのやいのしている場面でも見苦しいことはない。
そんなおしとやかな少女の作品のなかに、もう一度いうけど、ぱんぱかぱーん!!なMr.さんの作品《Going To A GO-go!!》(2014年、本展図録表紙作品)があるのです。本作はマンガやアニメのイメージ、文字が何層にも重なり、そのイメージと情報が今にもキャンヴァスからあふれ出し、こちらにはじけ飛んできそうな勢いさえ感じる。おしとやかさゼロ。前面に描かれている少女の元気いっぱい!な感じが、さらにその勢いを加速させているのかも。制御がきかんばかりの情報量にさらされているのは、大人だけでなくまだあどけない少女も一緒。たくさんの刺激にかこまれて、いえーい、ちょーはっぴー!!という、もう一度だけ、ぱんぱかぱーんっぷりは、どことなく平和ボケなかんじ。

こんな感じで書いてるときりないですね。
今回は、展覧会に来ているお客さんの層が面白かった。
ばらばらなのです。
だいたい、展覧会って層が偏るじゃないですか。現代アートは若者とか、印象ははおばさまとか。
偏見かもしれないけど、ある程度、どんな人がくるか想像ができるわけです。

しかし、美少女展は老若男女!アートファンらしき人から、アニメファンの方、昔の少女漫画付録をなつかしむマダムと
本当にいろいろな方がきていたのがとても印象に残っている。
これはいい兆候でしょう。アニメにしか興味のなかった人が、浮世絵や近代絵画にも興味を持つことができたり、現代アートにしか興味のなかった人が
フィギュアに感動したり。お客さんの興味関心がぐいぐい広がるのではないかと思います。やっぱりアニメしか興味ないと、結果そうなっても
今まで知らなかった世界を知るきっかけになることは確かです。

本展図録に収録されているトリメガ研究所さんの座談会からは、本展の意図と、そこに込められた想いがとてもよく分かります。座談会最後の方に「魅力的な作品には、そのジャンルに初めて触れる人に対しても訴える力がある」「あ、こういう面白い表現もあるんだ!と興味を持つきっかけになればいいと思う」とお話をされているように、まさに本展覧会は、さまざまなジャンルを渡り歩くことができ、各人の興味関心、好奇心の幅をぐっと広げてくれるように思います。

もうひとつ。今回の展示は美少女展を見ながらも、導線上に青森県美常設のシャガールの間があるなど、青森県美ならではの構成でした。現在は静岡県立美術館を巡回中。展示作品は同じでも、各美術館によって展示方法はかなり異なるのだろうと思うと、3館すべてをまわりたい!!という意欲を掻き立てられます。きっとそれぞれの美術館でそれぞれの発見があるんだろーなーと、静岡&島根へ行くことを既に計画中です。

さー展示をひとおり見終わったら、常設を見てから、ショップでバーニャに送る絵はがきを購入。成田亨のウルトラマン柄。

その後、トリメガの工藤さんにご挨拶。実はアポなしでうかがったのですが(お忙しい中、突然の訪問をすみません。。。)とてもあたたかく出迎えていただきとても嬉しかった!!美術館内を案内を案内していただき、最近の青森県美の活動を教えてくださった。んーーとっても素敵な美術館。また来たい欲がふつふつと、、、。工藤さん、本当にありがとうございました。

ここで気づく。
ああ!!あおもり犬を見ていないわ!!
バスの時刻を確認すると次のバスがくるまで20分くらい時間がある。
これだけあれば見に行けるだろうと、青森犬展示スペースに急ぐ。
意外と遠い(笑)小走る。
うわーー階段。さらに小走る。

いました!あおもり犬です。感無量。
大地からぬおぉぉおっと出てきた感じ。デエダラボッチみたい。

あおもり犬とは奈良美智さんの作品。高さ8.5mもあるんだって!
青森県美の常設は、青森県ゆかりの作家のみで、それぞれの作家ごとに常設スペースがあるのですが、
奈良さんの作品は青森犬以外にも常設で楽しむことができます。八角堂も奈良さん。
あと、棟方志功も常設で堪能できますよー。

はい、タイムリミット!
バス停までダッシュ。
なんとか間に合いました。
1本のがすと次まですごく待たなくちゃなので。

ほんとは、美少女展見た後に三内丸山遺跡みにいこーと計画をしていましたが、
美少女展を2時間くらいかけてじっくりみたので、遺跡に行く時間はありませんでした。
残念だけど、それだけ美少女展が良かったということです。

夜。
夕ご飯何食べよう頭と悩んだあげく、煮干しラーメンに決めた。
お店は「長尾中華そば 青森駅前店」。チェーン店みたい。
店に入ると、男性しかいない。ちょっと女子一人では入りにくいかな?カウンターのはしっこに申し訳なさそうにこしかけ、食券をお兄さんに渡す。
麺の種類と固さを選ぶ。
ほどなくしてラーメンが運ばれる。おいしいっす!!ぺろりとたいらげ、最後に白飯で雑炊っぽくした(白米はご自由にどうぞなジャーから自分でよそう)。
食後は少し夜の街を散策。海風がきもちいい。
しばし海を眺めてぼーっとしてみる。
tesh今頃なにしてるかな、、、と旦那を恋しがったりしてみる。

ホテルに帰ってビールを飲みながら、ウルトラマンカードにバーニャへのメッセージをかく。
まさか、英語でウルトラマンの説明をする日がくるとは。

ほろ酔いでおやすみなさい。