花輪和一『猫谷』

花輪和一『猫谷』

花輪 和一(はなわ かずいち、1947年4月17日 – )は日本の漫画家。北海道在住。
1970年からイラストレーターとして活躍し、1971年に『かんのむし』(月刊漫画ガロ)で漫画家としてデビュー。

いつからこんなにマンガを読むようになったか分からない。
なにしろ、小さい頃は、親にマンガを禁止されてたから、友人のマンガの話に全くついて行けなかった。
それが嫌だったかって言うと、そうでもなかった。
私自身もそんなにマンガに興味がなかったんだと思う。だから、禁止されようが、友人と話があわなかろうが、特に苦でなかった。

最近、読んでいるマンガ家の一人が花輪和一さん。
まだ、数冊しか読んでいないのだけど『猫谷』はいい。

これは89年に発売された作品集を再編集して、三編追加収録したもの。

中野ブロードウェイのタコシェで購入。

花輪さんの描く子どもはとても魅力的だ。
人間というか、宇宙人みたいな顔。
全てを見据えているような目。
そこから覗く瞳が、こちらをじっとさすように見つめてくる。
見つめられたこちらは、ドキドキしてしまう。
なんだろう、宇宙人というか天界の人といったほうがしっくりくるかもしれない。

この作品集でも、子どもが重要な位置を占めているものがたくさんあった。
「慈肉」とかいたたまれなかったけど…。

多雨さんと井場、
昆虫が出てくる作品が多かったように思う。
昆虫というと、川端康成の昆虫描写が美しくてすきだけど、
花輪さんの描く昆虫は、まさにエイリアン、というかコチラも子ども同様に天界の者という感じ。
人間より、昆虫、蟲のほうが天に近いように思った。

全編にわたり、グログロとしているけど、その分生命力を感じる作品集だった。
キレイじゃないけど、美しい作品集だと思う。
その美しさは、もっぱら子どもと昆虫の描写から感じるのかもしれない。