ネパール3日目:ポカラ3

ネパール3日目:ポカラ3

フライトまでのお散歩中、現地の女性に声をかけられた。

ただ一言「hello」と。
返事をしようとそちらを向くと、女性に笑顔が無い。
よく見ると、腕が折れて、パンパンに腫れている。
どう見ても不自然な折れ方。

女性は私と目が合うと、折れてはれた部分を指さしながら、
もう片方の手で、お金をくれとジェスチャーしてきた。
きっと、故意に自分で腕を折ったのだろう。

お金はあっても、そう簡単にあげるわけにはいかない。
足早にその場を去って、いいかんじのカフェに入った。
オーガニックをうたっている新しめのお店。
オープンテラスになっていたので、外の席へ。
マサラチャイを注文し、待っていると。
なんと、柵越しにさっきの女性が。しかも今度は小さな女の子を連れている。
女の子はざるを持って、女性と一緒にお金を頂戴という仕草をする。
それでも断り続けた。
1人にあげたら、全員にあげなくちゃいけない。
きりがない。

すると、今度は老夫婦がそのカフェの入り口にやってきた。ご主人は盲目で杖をついている。
そのご主人の手を奥さんがひいて歩いてきたようだ。
すると、突然、男性が何かを叫びだし、急に自分の腕をかみちぎろうとした。
それをなだめる奥さん。次に男性が泣き出した。
どっからどうみても芝居なのだが、、、なんだかとても恐くなった。
カフェの入り口から動こうとしない。

私たちの席より少し奥に座っていた白人の男性が、2人にお金を渡した。
お店の人もキッチンからでてきて彼らにお金を渡した。
お金をもらうと彼らはどこかへ去って行った。

私たちの横には、まだあの女性と女の子が立っている。
お店の人が女の子にお金を渡した。
ここまでくると、わたしたちもお金を渡さなくてはと思い、
主人が女性に5ルピーを渡した。日本円で5円ほどだ。
女性は5ルピーを受け取ると額にお金をつけ、感謝の意を表し、その場を女の子とともに去って行った。

それから間もなくして、マサラチャイが運ばれてきた。
なんだか頭の中がぐちゃぐちゃになっていたから、そこのチャイの味をうまく思い出せない。
きっと美味しかったと思うんだけど。

ネパールに来る前、お金をくれと言われても無視をつらぬこうと決めてきたのだが、
実際そういう場面になるとなかなか難しい。

自分の腕をわざわざ折らないといけない現実。
みんな生きているんだなと痛感した。

どのように対応することが正解なのかは分からない。

ただ、恥を捨て生きる事に必死な彼らを見て、
必死に自分の人生を生きようと思った。

少し重たい気持ちでカトマンズに戻る。